甦った亀の尾

いい酒をつくるには、いい米が必要です。

かつて、「不世出の名米」と謳われながら、倒伏しやすく、病害虫に弱いことからその後すっかり姿を消してしまった酒米がありました。
 「亀の尾で造った酒にまさる酒はない!」
越後杜氏の長老から聞いた久須美酒造6代目・久須美記廸は「その米でぜひ酒を造りたい!」とロマンをふくらませ、この幻の米「亀の尾」を探しにかかりました。
執念が勝ちました。昭和55年11月、ようやく穂にして10本、約1500粒のわずかな種もみを入手することが出来ました。
 また、久須美酒造の社員と蔵人は、酒造り・米作りのプロ集団(地元の農家の人達)です。 彼等の手により、1500粒の種子から翌年春に963本の苗が育ち、秋には30Kgの『亀の尾』が甦りました。更に昭和57年秋に4800kgを収穫、そして昭和58年の冬、香り高い純米大吟醸酒『亀の翁』が誕生しました。

漫画・テレビドラマのモチーフに・・・

この米作り・酒造り物語が、漫画「夏子の酒」(講談社・尾瀬あきら作)のモチーフとなり、また「酒は風」写真集(大月書店・英伸三、首藤和弘、英 愛子)の題材となりました。そして平成6年、連続テレビドラマ「夏子の酒」(フジテレビ系)で、日本全国及びニューヨーク、台湾でも紹介されました。

うまい酒をつくる条件

日本酒は、土地の米と水と人情と自然が醸す風

 日本酒は、米と水との芸術ともいわれます。新潟酒の美味しさは、“雪” “米” “水”そして“越後杜氏の高度な酒造りの技”から醸し出されます。
 久須美酒造は山紫水明の地・(旧)和島村に位置し、酒蔵の裏山には樹齢150年を越す老杉が欝蒼と立ち並び、そこからは清く澄んだ湧き水(昭和60年新潟県の名水に指定)がこんこんと湧き出ています。
 この名水を仕込み水に、越後杜氏・星清次郎が新潟米を磨きに磨いて、丁寧に丁寧に、手塩にかけて仕込んだ酒が代表銘柄『清泉(きよいずみ)』です。